森の中に描いた古城
オーナーが思い描いたのは、重厚な石の質感と、森に佇む、古城のような住まいでした。
この住まいは木の家ではありません。
しかし、自然と調和した空間づくりには、ランタサルミの設計思想が宿っています。
1. 理想の空間を叶えるために生まれた屋根の形
当初は片流れ屋根を希望されていましたが、お話を伺う中で、「高い吹き抜け」「十分な部屋数」、そして「2階の廊下からリビングを見下ろせる空間」など、を求められていることが分かりました。
そこで、これらのご要望をひとつずつ形にしていった結果、屋根を持ち上げた立体的な構造へ。
暮らし方や必要な空間を優先して設計を重ねた結果、生まれたフォルムです。
2. 石を主役にした、内と外がつながる空間
最もこだわったのは、壁の「石」と天井の「木」が、室内からテラスへとそのまま伸びていくデザインです。
素材が内外をシームレスにつなぐことで建物の境界が薄れ、大開口から広がる森までを含めた、圧倒的な奥行きと開放感をもたらしています。
3. テラスも、暮らしの一部として考える
ランタサルミでは、軒下のテラスも住まいを構成するひとつの空間と考えています。
この住まいでも、リビングからテラスへ、さらにその先のファイヤープレイスまでが一続きにつながるように設計しました。テラスには埋め込み式のファイヤープレイスを設置。使わないときは蓋を閉じることでフラットなテーブルとして使え、必要なときだけ蓋を開けて薪をくべれば、焚き火やBBQを楽しめます。
室内から屋外へ出るというより、リビングからもうひとつの部屋へと続いていく。
そんな感覚で過ごせるテラスです。
4. 建築とランドスケープが響き合う住まい
オーナーのこだわりは建物だけではありませんでした。
古城を思わせる石積みや乱形の素材感、ファイヤープレイスを中心とした屋外空間。
これらをより完成度の高いものにするため、外構デザイナーと協働し、建物と庭を一体でデザインしました。
建築とランドスケープ、それぞれを掛け合わせることで、住まい全体の世界観をつくり上げています。
5. 素材が変わっても、変わらない設計思想
木ではなく石。
主役となる素材が変わっても自然と調和し、人が心地よく過ごせる空間をつくるという設計思想は変わりません。
素材そのものの魅力を引き出し、建築として美しく昇華させる。
この住まいにも、私たちが大切にしてきた設計思想が宿っています。
オーナーが思い描く古城のような世界観と、自然を身近に感じられる開放感。その両立を目指し、石という素材の美しさを引き出す納まりや、内外の一体感を丁寧に追求しました。
素材の扱い方や景色の切り取り方は、これまでランタサルミで培ってきた設計そのものです。
主役が木から石に変わっても、私たちが大切にしている設計の本質は変わりません。
この住まいは、その思想を石という素材で表現した一棟です。
