木の優れた特性
呼吸する⽊材の調湿作⽤
⽊は呼吸しており、湿度が⾼い時には湿気を吸収し、乾燥している時には⽔分を放出する性質があり、室内湿度を50%前後に調節してくれます。この数字は結露を抑制すると同時に、60%以上の湿度を好むカビやダニ、ウイルスの発⽣を抑えることができます。温暖で湿潤な⽇本の気候においても室内を清潔で快適に保つ相性のいい素材と⾔えます。
⾃然のやすらぎを感じられるリラックス効果
⼼地よい⽊の⾹り。これは⽊が発散する成分「フィトンチッド」によるものです。消臭・抗菌効果や、リラックス効果があるため、まるで森林浴をしているかのように⾃然のやすらぎを感じながら過ごすことができます。また、⽊は紫外線や照明の反射を吸収し、温かさを感じる⾚外線を多く反射する性質をもっており、⽬には優しく温もりを与えてくれることから、心地のよい睡眠にもいい働きを与えてくれるのです。
理想的な断熱材として
⽊の細胞には空気層があり、ミクロサイズまで細かく⾒ると中が空洞になっていることがわかります。その空気層に空気※が含まれていることにより、熱を伝えにくい⾼い断熱性の秘密が隠されています。また、⽊の熱伝導率はコンクリートの1/12、鉄の1/483しかありません。熱伝導率が⼩さいほど断熱性(熱を伝えにくい性質)が⾼く、⽊は断熱材として優れた素材と言えるのです。
※空気:身近な物質の中で最も熱を伝えにくい
温かさと涼しさを維持する快適な蓄熱材
空気は最も熱を伝えにくい性質をもっていますが、⼀度⽊の細胞内の空気が暖められれば、熱を適度にため続ける性質から、⾃然の蓄熱材となり、夏になれば冷房で冷たい⾵を送ることで、蓄冷の働きで涼しい空間にしてくれます。壁や天井、床などを⽊で覆うことでこの蓄熱・蓄冷の働きを利⽤し、快適な室温と空間を与えてくれます。
耐久性・強度・耐⽕性に優れた建材
鉄やコンクリートといった素材が年⽉とともに強度が低下するのに⽐べ、⽊は伐採後約200年は逆に強度を増していく性質があると⾔われています。世界最古の法隆寺が 1400年もの歴史を刻んでいることからも耐久性が実証されています。強度においても⽊は他の素材と⽐べて秀でており、重さ当たりの強さで⽐べても、引張り強さ、圧縮強さのいずれも⽊のほうが鉄より強いのです。また耐⽕性においても、空気を多く含んでいる⽊材は熱を中に伝えにくく、表⾯からゆっくり燃えていきますので、鉄などのように⼀定の温度で急激に強度が落ちることもありません。
化学物質とは無縁の健康性
⾃然の無垢材を使⽤した⽊の家はシックハウス症候群の原因となるような化学物質・ホルムアルデヒドの放散がほとんどありません。⽊の成分に空気中のホルムアルデヒドを吸い取り、減らす働きがあることからです。また、静電気が流れにくく、通しにくい性質からほこりが舞いにくく、ハウスダストなどのアレルギーの⼼配も軽減できます。
⽣物の居住空間として最適な⽊の住まい
⽊と⾦属とコンクリートの3種類のケージでマウスの⾚ちゃんを飼育した実験では、⽣後23⽇⽬でのマウスの⽣存率は⾦属ケージでは41%、コンクリートケージでは 6.9%であったのに対し、⽊のケージでは85.1%という⾼い⽣存率を⽰したのです。また⽊のケージの中で育ったマウスは、発育状態や⽣殖器の発達状況も他のケージと⽐べて⾮常に⾼い結果が出ました。これらは、⽊材のもつ温度や湿度の調整機能、熱伝導率の低さなどが⼤きく作⽤していると考えられます。
出典:「生物学的評価方法による各種材質の居住性に関する研究~マウスの育成成績による評価~」靜岡⼤學農學部研究報告